無題

「名札はとりあえずこれ使ってもらっていいかな?」

「クルー04」と書かれた名札を受け取り、左胸に付ける。横を見るともう一人日雇いが立っており、そいつには「派遣」と書かれた名札が手渡されていた。フロアに出る瞬間はレジの打ち方や、からあげクンの作り方とか、そういった記憶が全て失われているんじゃないかと心配し、心のどこかではそれを願ってもいたが、細胞レベルに染み付いた業務マニュアルがグツグツと音を立て、それら全てが杞憂であることを告げてくれた。品出しや発注はその店に精通した常勤が担当するため、その時間を作るために救いがたい表情で永遠に会計をし続ける、それが「クルー04」の今日の仕事らしい。領収書で鶴とかカブトムシを折っていると、薄い時間は思ったよりも速く流れていった。廃棄の弁当を無言で素早くリュックに詰め、五千円札と交通費を受け取って店を出る。